う……
[嗅ぎ慣れないにおいを洗い落としてしまいたい気分だ。目を閉じればよどんだ血だまりがフラッシュバックして、何度も何度も瞬きをして額に片手を当てた。
鷹津の声に視線をやって、彼の苦笑を見れば]
なんで……笑ってられるんだ、あんた……?
[喉の奥から絞り出すように。声は擦れている。さんざん霧に向かって叫んだせいか、この事態のせいか。
退屈な日常は好きではなかった。つかの間のアルバイトやゲームで非日常を味わう事が楽しみだった。
だけど、殺人なんて非日常なことは、一生身近に起こるわけないと思っていた。**]