─ 雪原 ─
……っ!
[疾駆する動きの速さに息を飲むが、悠長に構えてはいられない。
とっさに雪の中に転がり、その直線状から避けていた。
肩から飛び立った小鳥が、甲高く鳴く]
死に急ぐ気なんて、ないっ!
でも、このままにしておくのなんてできないし、そうしないために、誰か任せに流されるのも嫌なだけだっ!
[身を起こしながら、叫ぶ。
戦いの経験なんてないし、身体的にも人並み程度。
それを思えば、やっているのは無謀なのはわかっているが]
…………。
[息を整えつつ、銀十字架を握り締める。
身に帯びた、唯一の──月に対抗しうる力、を]