[あちらこちらに種を蒔いた後。
力の均衡を取り直すのもかねて、表舞台に出るのは控えつつ。
自身の領域と定めた森の中で、傷を癒しつつぼんやりと時間を過ごす事が多くなっていた……のだが]
……なんで、こうなりますか。
[森の中の小さな川辺で、は、と小さく息を吐く。
長く伸ばした髪には、絡みつく木の葉多数。
森の中で転寝している所に知らぬ気配を感じ取り。
旋律を奏でるより、手近な茂みに潜む方が速い、と判断した結果がこれだった]
……ん……結構絡んでる、か。
仕方ないですねぇ。
[一度解いて梳かないと取れそうにない、と。
そんな結論に達して、白のリボンを解く。
知らぬ気配の事は気になったが、髪を傷める可能性を残すのも本意ではないから、躊躇いはなく。
白を解く事で為される変貌と、髪を梳く仕種が傍目どう見えるかは、余り、気にしてはいなかった。*]