─ 翌朝/自衛団詰所裏路地 ─
……え?
[踏み込んだ裏路地は、やはり、灰色に見えた。
けれど、そこに座り込む人の姿は、いつもと変わらないように見えた]
……ギュンターのお爺ちゃん?
[呼びかけるけれど、返事はない。
灰色の視界の中、唯一色鮮やかにあるその姿はぴくりとも動かない]
お爺ちゃん、どしたの? こんなとこに座ってたら……。
[風邪引くよ、と。呼びかけながら近づく足元で、何か、跳ねた気がした]
……?
[瞬き一つ。下を見る。目に入ったのは──あかい何か。
灰色の視界の中で、それは妙に冴え冴えとして見えた]