[ソファへ横たわり、無惨な姿を晒す(その寝顔に危機感は皆無で、また別の意味で無惨だが)ダーヴィッドの、額に巻かれた包帯。そこにも血が滲んでおり、乾ききらない血は乱れた髪とは違った色で、その下の傷口がまだ開いたままである事を示していた。]
[それを見たミハエルは少し、眉を顰め]
[ソファへ身を屈めて、血糊で額へへばりつくダーヴィッドの髪を剥がしはじめる。]
[包帯を解くと、血の止まる様子もない傷口。
抑えていた物が無くなって、流れる鮮血。
立ちあがる香りは甘露。]
[傷口に指を当てる。額を撫でるように、指先でなぞる。
傷口に溢れる血は、水。
凍らせてその流れを止める。]