─ 部屋H ─[やって来る者たちから向けられる様々な視線にも、天鵞絨は揺らがない。揺れるべき部分は、砕けて動かないから。それでも、駆け寄ってきたエーリッヒから平手をくらった時>>51は、ほんの少し、天鵞絨は揺れて。けれど、すぐにそれは飲まれて消える。肩を揺さぶられ、訴えかけられる言葉>>52にも、揺らぐ様は見えなかった]……成すべきを果たすに、人であるが妨げとなるなら、それも捨てよう。我はただ、朱花の宿主としての務めを果たす。