─村の通り─
[メモから目を離し道を歩き進む。
ややあって前方から二つの人影が向かって来るのを見止めると、駆け寄るでもなくいつものペースで二人に歩み寄った]
御機嫌よう、ノイエンドルフ夫妻。
揃ってお出かけかな。
[社交用の笑みを浮かべてゼルギウスとイレーネを順繰りに見る。
重装備とも言えるゼルギウスの姿には軽く笑いが込み上げそうにもなったが、それは押し込めて]
細工の依頼をしたいのだが……時を改めて伺うとしよう。
ここで立ち話と言うわけにもいかないだろうからな。
[言いながら、視線は一度身重のイレーネへと。
彼女を気遣っての言葉と言うのは伝わるだろうか]
では僕はこれで。後程工房を訪ねさせて頂く。
[子供らしくない口調で挨拶をすると、他の細工師の工房へと歩き*始めた*]