……なん、だ、あれ。
[聖堂の上に掲げられた十字架に、何かが引っかかっている。
遠目の印象は、そんな感じで。
けれど、それにしては何か色々と、不自然な気がして。
嫌な予感を抱えつつ、よく見える位置まで歩みを進める。
進むにつれて、空気に何か混ざるような、そんな違和感があって。
それが歩みを鈍らせる、けれど]
……っ!?
[それでもたどり着いた、聖堂の下。
見上げた十字架に貫かれているのは、人のカタチの──]
なんっ……。
[声が詰まる。
なんだこれは、認めたくない、認められない。
そんな思考がぐるり、巡って。
立ち尽くしていたのは──僅かな、時間]