─ 『蝕』翌日/診療所 ─
[腫れに効く薬を塗った後、湿布がずれない様に包帯を巻いて指示をして。
それからこちらに向けられた問い>>63を聞き]
動物は門外漢だから良くは知らんが。
異変を察知するとは聞いたことがあるな。
第六感というか、勘が鋭いというか。
しかし、昨日か。
爺さん達も揃って何やら落ち着かんと言っていたな。
[答えながら、すっきりしない胸中に眉を顰めた。
蝕という普段と違う現象に、子供が不安を感じるのは解らなくもない。
初めてのことだろうし、日中なのに暗いというのは解っていても落ち着かないものだ。
だが、いい大人である年配者が不安を感じるのはどういうことか。
何より昨日は、自分も言い知れぬ不安を感じた、その理由も解らない。
思案に落ちそうになった自分に気付いて、軽く頭を振った]