[妹にべたべたするな、とマクシームに怒られるだろうか。その時は甘んじてお叱りを受けようとぼんやり思う。腕に抱くあたたかなカチューシャのぬくもりがそんな懐かしい日常を思い出させていた]確か、こっちの方、だった、はず……[少しだけあがる息が言葉紡ぐのを邪魔した。駆けた先に獣と人の影を見つけて男は喉骨を上下させた]あたり、みたいだ。カーチャ、僕より前に出てはいけないよ。[そう言ってから、彼女の足を地面の上に触れさせてまわしていた腕をそろと解いた**]