― 林 ―[音は相変わらず聞こえない。だが林へ来れば、錆びた鉄の匂いを感じ、視線が警戒に細まった。獲物を覆う布を少し解き、手をかけながら、ゆっくりと探るように歩く。赤い色が見えると足が止まった。その死体が自衛団長の物だと、一瞬では解らなかった。首が無い。気づけば唯事でない惨状に眉を潜め。動じに近くに動くものが視界に入り、そちらを向くとよく見知った顔があった。]フおル。[なるべく驚かせないよう、声をかけて近付き。死体を凝視する少年の肩を叩いて安否を確かめた。]