―― 保健室他 ――
…………
[嫌な匂い。
すぐに反応したマコトと、さらに重い空気になったアズマ。
嗅ぎ慣れた匂い。不快感が思考に至れば、かたかたと手が震えた。
確認したくない。けれど、確認しないのはもっと怖い]
[アズマは、屋上に向かう時の感じと一転してしゃべらない。
無言で一歩近づいて、彼の顔を見上げた。
彼の腕に触れようと、おそるおそる手を伸ばす。
ユリとは違って、私は同世代の他人に触れるのがあまり得意じゃない]
[触れる刹那、アズマの重い声がして。
無理矢理みたいに後回しにされてしまった。
何度も何度も、廊下の奥、非常口の方を見る。
まだ宿直室の匂いには気が付いていなかったから]