― 昨日/黒珊瑚亭 ―………っ。[カルメンやヘルムートを見送るより前。不安や怒り――それだけではないだろう感情の、ぶつけどころを違えてしまったかのような、カヤとアーベルのやり取りを、何も言えずに見つめていたが。傍らの、金色の髪の修道女の瞳に滲む涙>>20が、同じく金髪だった姉の、濡れた瞳と重なる気がして。見ていられなくなり、瞳を逸らして]