―昨晩・キャロルの部屋―
[返事が返ると、静かに扉を開けて中へと入った。
名を呼ばれ労われると、なにと一つ首をふる。]
まったく疲れていない、とは言い難いけど。
なに、他の連中よりは比較的ましなほうだと思うよ。
[そうキャロルに返しながら。
視線が手にした白い花へと向いたなら、ああと呟き近づいて、彼女の手を取りその平の上にそっと置いた。]
深夜に夾竹桃の君の部屋を来訪するには、白い花束でも用意しないと失礼かと思ってね。
束にするには、可憐で手折るに忍びなかったから数は少ないけれど。
[やや芝居がかった笑みをうかべて彼女を見た。
気を和らげようとしていると受け取るか、不謹慎だと思うかは本人しだいだ。
反応には悪いといった言葉か笑みかを返すと、空いていた椅子を借り、そこに座って切り出された話をじっと聞いていた。
流石に聞いた内容故に先ほどの軽い雰囲気は消え、口元に手を当てて難しく考え込んだ。]