[少女は身の内の朱花が苦痛を強いても、屈する事を良しとはしない。
屈してしまったら、朱花が少女の体を支配して、目の前にいる思い人を殺そうとする予感を感じ取ったから。]
…あたしは、まだご両親と同じように喰べられてないよ。
[昔話>>76にはきょとんとして。
短い拒絶>>77には]
獣が、人を想わなくても。
あたしが。
――人が、獣を想うわ。
春を告げる花が咲いたら、一緒に見るって約束を。
獣がしてくれた事を、覚えてるから。
[少女は春の野辺を思わせる微笑みを浮かべ、銀狼を抱き締めようと。
彼の人の反応はどうだったか。
抱き締めることが叶ったなら、その背を撫でて。
拒絶されても、懲りずに繰り返す心算。]