[問いへの答えは如何様なものか。いずれにせよ、紅帯びた翠は、返答を聞いた後、一度、閉じられる。逆に問いを投げられるならば、答えられる限りは答えるものの。その口調も声の響きも、ここ数日の何かが欠落したものではなく、雪嵐以前の青年とさして変わらぬもの。話が終われば、閉ざされていた目は再び開く。その時にはもう、翠に紅の影はなく。お邪魔しました、と一礼して辞す様子はまた、ここ数日の感情の薄れた青年のそれに戻っていた]