[囁きは、数秒の変化の間。耳許に添えていた手を下ろす。口唇が柔く、弧を描いた]さあ。僕は何時でも本気の心算ですが。何を以て、本気とするのやら。[離れていく男へと告げる声は普段通りの温度]――試してみたいんですかね。[心中に抱いた想いは、言葉にはしない。嗚呼。己も大概、“まとも”ではないと思った。何を言うでもなく、他者に声をかけるオトフリートを見やる。*青に隠れた石は、何色を宿すか*]