―回想/ヴィクトールの部屋―
[水は、とか、世話を焼くのは、自分もそうしてもらった記憶があるから]
謝る事じゃない。でも、先に言って欲しかった。
あんたが体調崩して、万が一の事でもあったら、俺にどうしろっていうんだ。
……隠さないで欲しいんだ、ヴィクトール。
あんたのお蔭で、俺は普通に生きてこれてるんだから。
[両親が死んだあの日、慰めてくれた彼がいたからこそ。
それから助けてくれていたからこそ、自分は生きているのだ。
――彼もまた自分と同じように後悔しているのは、薄々と気づいていても、それを問い詰めることは出来なかった。
月日を重ねていくうちに、問うタイミングを失ってしまった]