……ほう。
[紡がれぬ、知らぬ言語による呪。
それに対して目を細めたのは、僅かな時間]
界と我を結びし我が盟友、我が意にそいて、散れ!
異界龍・散!
[マグマの渦を、打ち消すよりは避けさせるべき、と判断し、水晶龍を分裂させて素早く避けさせて。
自身は先に受けた傷から溢れた真紅を一滴、『魔本』へと吸わせ]
……界と界を結びし『書』よ。
……我が生命の滴、贄と見なし、『門』を開け。
……氷雪の先、霧の狭間に在りし牙。
……氷の獣、束ねし王の咆哮を、ここに!
[紡いだのは、獣王召喚の呪。もっとも、本体の召喚ではなく、その力──氷雪の嵐を呼び起こす力のみを引き出しているのだが。
平原に響く、咆哮。
それが呼び起こした嵐はマグマの渦を飲み込み、それを生み出したユリアンへ向けて広がってゆく]