─村の通り─[もうゼルは前を向いていただろうか、こちらをまだ見ていたなら涙の筋がいくつも流れた顔を見られてしまっただろう。歩き出す彼の歩幅に合わせて、少し早歩きになりながら手を引かれていく。ゼルの手が嬉しくて、また少し泣きそうになりながら、許されるかぎり離れないでほしくて。こちらからも彼の手を握り、この温もりが、彼が消えないことを*願った。*]