惜しかったな……司書さん。。
だけど……この差は何だと思う?
[ライヒアルトの奥の手を左手──レナーテは獣のそれではない人の素手で受け止めた。
その痛みが左腕全体に波及するが眉を顰めて激痛に耐える。]
──経験。
お前と私を隔てたのはそれだよ……神の使徒。
[それは踏んできた場数の違い。それは葬ってきた人間たちの数だけ知った人間の覚悟……故に防げた一撃。
すでに動かなくなった左腕、他の感覚はないのに確かな痛みだけが残る。これほどの傷を受けたのはいつぶりのことか]
お前と最初に出会っていたのなら私は死んでいただろう。