人狼物語 ─幻夢─

83 血塗れの手


アレクセイ

―朝/自室―

[彼の親は大変子煩悩であった。
あの日も、一体いくつの子供だ、自分は平気だと追いやったような気もする。
恵まれていたのだと、思う。甘ったれた事だと自覚はしていた。
だけれど、そういう日常は、夢に見る事もない。
一歩、人との距離を取る。失った時が怖いから。

今日も夢は見なかった。いつもの朝だった。
起きて身支度を整える。隣の部屋のヴィクトールは、もしかしたら起きているだろうか。
覗きにいこうか、と考えて外に出ると、端の方に人の姿が見える。
――鉄のようなにおいがする。

開くときは気にしなかった音を、閉める時は気にした。
それから、二人の姿の方へと歩いていく]

……大丈夫か。

[フィグネリアとタチアナの二人の様子に、まずはそう声をかける。
そのまま室内を覗くと、顔を顰めた]

(85) 2013/04/30(Tue) 14:10:37

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