― 学長室 ―
[廊下であった春陽から混乱をしていたと聞いていたから
呼びかけに反応を示さぬ春>>80に疑念を抱くことはなかった。
零れた問い掛けに一瞬柳眉を寄せ小さく頭を横に振る]
……ボクにも分からないよ。
学長が殺されなきゃいけない理由なんて……
[響が殺されたときもその理不尽さに憤りを感じたけれど
明確な答えが得られるはずもなく]
――…春。
[赤にへたりこむ友の目の前に差し出すのは長い指先。
彼が視線を上げれば差し伸べられた手の向こうに覗く薄い色の眸がある]
ボクじゃ、助けにならないか?
まぁ、頼りないのは認めるけど。