でも、そういうものですから。
自分の命は誰より大事です。
[去り行くユリアンの背中に、呟く。]
私だって、そうだった。
[何かを思い出そうとする頭を振って、エーリッヒの方へ振り向く。]
エーリッヒ様、帰りましょう。
……私は、今私が居られる最善の場所は、あの家だと思います。
エーリッヒ様にとってもそうです。
もしエーリッヒ様が私のことを信用できなければ、ここに置いていってください。
[そしてエーリッヒが許すようなら、そのまま二人で家へと帰るのだろう。許さなければ、宿の一室を借りないといけないだろうな、と、ユーディットはぼんやりと*考えていた。*]