─雑貨屋─はぁい、いらっしゃいま……。[ドアベルの鳴る音に振り返る。何か、気圧されるものでもあったのか。振り返ったままの姿勢でしばし固まったが]……し。[それでも、それは言い切った。見慣れない姿。黒の瞳がぱちくり、と瞬く]あ、えっと。見ない顔、だけど、別荘地に来てるひと、かい?面白いもの、かぁ……家で扱ってんのは、暮らしの品だからなぁ。[それでも、我に返るのは、早かった。持っていた本を棚に並べ、視線を向けるのは色とりどりの刺繍のなされた小物の棚]