― 聖堂外 ―
[昨夜の談話室では先の気まずさもあって、碌に目も合わさず、本の貸し借りの際にも殆ど無言で遣り取りしていた。
彼の左手の具合は、幼い頃からの付き合いで良く知っている。
だがそれにしても、これ程までに痛そうに蹲る様は見た事は無かったが]
……。
[手伝いは大丈夫>>86と言われたから、そちらの傍へ向かった。
近くで司書も声を掛けていた>>88が、それで止まる事は無く。
眉を思い切り顰める]
……何してんだよ。
[言葉だけ聞けばいつものような冷たいものだったし、表情も不機嫌そうではあったが。
なるべく掴まりやすいような位置に、手を差し出した]