……だい、じょう、ぶ。
ぼくより、シスターさんと、ユディ、ちゃん。
[誰かに案ずる声を投げかけられたなら、返すのは途切れがちの言葉。
大丈夫、と言ってはみても、身体の震えは止まらなくて、羽織っていたショールをぎゅ、とかきあわせてそれが鎮まるのをじっと待った]
(……ぼく、は……)
[無自覚の認識が、自覚までの距離を詰める。
それでもこの時にはまだ、二つの間に距離は開いていた。
認識を拒否する気持ちが、自覚を阻んでいて──けれど。
その逃避が赦されることではない、と知るのは、翌日の夜明けの後。*]