─林エリア─
[ハインリヒの言葉は耳に入ったかどうか。高熱は意識を朦朧とさせる。術が止められてもしばらくは頭がくらくらした]
……ぅえ……あんべわり……。
[差し出された手はくらむ視界でぼんやり捉えたものの、左手を出しても何度か掠るだけで。ハインリヒの手を掴むにはしばらく時間を要した]
『全く、未だ召喚は安定して出来ぬと言うのに、何故やろうとするのであるか。
貴様、これが手合わせでなくば死んでいるのであるぞ!』
…ティ…あだまさひんびぐ…。
[いつもの威勢無く、筆を持ったままの右手で額を押さえる]
ぅあ゛ー、やらいでまったでゃー。
[起き上がる直前、懐からひらりと「歯車」の複写カードが零れ落ちた]