─自衛団詰め所近辺・路地─
[未だに覚束ない足取りで、たどり着いた場所。
立ち込める、常とは異なる空気に、一瞬歩みが止まった。
ふる、と首を軽く振って、先へと進む。
目に入ったのは──鮮やかな、あかいいろ]
……ギュン爺……さ、ま?。
[あかのなか、沈んでいるのは、白髪頭と青い服。
その身体は、至る所に傷がつけられて。
傷をつける事、それ自体を目的とでもしていたかのような。
そんな中、一際目立つ傷は、噛み切られたが如き喉元と、腹部に残された爪痕。右の肩から繋がる部分は、そこにはない。
人ならざるものの所業。
牙と爪の痕は、それを強く感じさせて]