― 昨夜の回想・広間 ―
[ライヒアルトも台所に向かえば、広間には自分とギュンターだけになった。
なんとなく居心地が悪かったので、お酒台所に運ばせたのは失敗だったかもしれない、と思いながらも、台所の面々が広間に戻ってくるまでは、無言でジュースを飲んでいた。
ふと。そういえば、子供の頃母の旧友のところで、その弟さんと一緒にぶどうジュースを貰ってのんだなぁ、思い出す。
自分より6つ年上の彼は、よく他の子供たちと一緒に遊びに誘ってくれた。
村でも特に親しくしていた内の一人だったのだが]
………いつからだっけ、あんな風になったの。
[子供の頃は名前で呼ばれていたように思うのだが。
いつの頃からか、貴族様だの子爵様だのという呼び方に変わってしまって。それを真似したものか、他の子たちも同じように呼ぶものが増えていった。
最初の頃は、酷く寂しく思ったのを覚えている。
次第に、その寂しさは『女だって事がバレたんだろうか』という疑問に変わっていったのだが**]