― 地下/武器庫 ―
[地下室に足を踏み入れれば、二つの部屋の扉。
どちらが件の武器庫であるかは、その扉に掲げられたプレートで容易く知れた。
開いた扉にずしりと重みを感じた気がしたのは、きっとこの扉奥にある何かで、誰かを「殺す」のだと意識した所為。]
何にしても。
ただ殺し切れないだけじゃ、いられないもの――。
[武器の扱いには決して詳しい訳では無かったが、それでも何か自分に扱えそうなものを探さねばと。
そのうちに目は自然と、装飾の施された真っ直ぐな剣に。
こういう時でも美しい細工物を選んでしまうのは職業柄かもしれない。
は、と息を吐いて、その剣の柄を握りしめた。
扉が開く音>>86に気付いたのは、その時だった。]
――――…、だれ?
[思わず手放しそうになった柄を、改めて強く握りしめ、静かに振り向いた。
自分でも、己の顔が強張っているのが、判った。]