[本当は、この取引も森先輩に持ちかける気で。
それでもあのとき、森先輩は私をあっさり捨てるんだろうなと思ったから、やめた]
狼を吊ることが正しいですか。
誰も殺さないで、平和を祈ることが正しいですか。
[あることに気付いてしまって。だからこの抱擁はとても怖かったけれど。それでも、その事実を信じたいように解釈する]
[頑張って腕を持ち上げて。露島先輩の前面の制服ぎゅっと握った。背中に回すのは少し難しかった。露島先輩の肩口に、額を寄せる]
[そうして、俯いたまま聞く]
……先輩。どうして、判定、言わないんですか。