―西側の渓谷―
[向こうに下に行けそうな箇所を見つけたところでエーリッヒがやってきた。
手をあげた彼を煙草をくわえたまま無言で見る。
苛々した気配は隠すつもりもなかった]
あ?
[ローザの亡骸を見下ろして言う言葉は聞こえたか聞こえなかったか。
しかし、驚きもしない様子に露骨な違和感を覚えた]
なんだか、彼女がそこにいるのを知ってるような言い方じゃねえか。
[疑るような視線をむけて、問うのは低い声。
自衛団員にと聞けば奴らに用はないと思えども、知らせるべきかと思い直し周囲を見回す。
巡回の自衛団員の姿を見れば]
おい!こっちだ!
[そう言って呼び寄せたか]