人狼物語 ─幻夢─

91 白花散る夜の月灯


湯治客 アーベル

―聖堂・外―

[後ろから雪を踏む音が近付いてきたのは聞こえた。
反応を返せる程の余裕は無く、乱れた呼気を繰り返すばかりで]

[それでも声を掛けられれば、殊更にゆっくりと頭を巡らせて、苦笑する]

……だいじょ、ぶ、……じゃ、ない なあ。

[大丈夫だと言ってもそうとは一切見えない自覚はあった。
躊躇いなく掛けてくる声とその肩の心配げな蒼の様子>>88に、安心させられるような言葉を紡ぐことはできなくて]

[そこに、落ちてきた言葉>>90
見上げれば随分と不機嫌そうな色合いがこちらを見下ろしていた]

……ほんと、に ねえ……

[無理矢理に零した笑い声は酷く乾いていて。
それに情けないような、困ったような苦笑へと移り変わる。
差し出された手には素直に右手が沿ったけれど、未だ収まらぬ痛みに立ち上がることはできない]

(94) 2014/01/14(Tue) 23:02:25

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