─ 3階・館の主の寝室前 ─
[>>94頷くばかりの幼い主の体をざっと見る。痛がる様子がなければ怪我もないだろうと判断すると、小さな体に手を伸ばして落ち着けるように抱きしめた。]
ええ、聞きました。
でもお嬢様がご無事で、旦那様は安心していらっしゃるでしょう。
[言葉に上手く労わりを込められたか解からなかったが、そう言い背中をゆるゆると撫でた。
ゆっくりと息を吐く。
視線を主からはずし、寝室の方へと向ければ、腕の中の赤よりもっと赤く見覚えのある色が見えてまた目を細めた。]
(あーあ、こういうのからは足をあらったはずなんだけどねぇ)
[胸中はやはり表には出さずに、背を撫でる手は極穏やかだった。]