─ 2日目/黒珊瑚亭 ─……牙や爪よりは、痛みはましだろうけれど、ね…。[荷物>>2:136の中、研究の為に持ち歩いている実験器具から、解剖用の細身のナイフをひとつ取り出す。陽に晒せば、銀色の鋭い刃がきらりと光を放つが、勿論、銀製ではない。何度となく、人体や獣の臓腑を切り刻んだ馴染の刃先を、そっと指先に滑らせれば。すうっと一筋の赤が滲み、滴り落ちる]……勿体ない。[思わずのように唇を寄せて。ナイフをハンカチで包むと、ポケットにしまった]