[それから直ぐに主の表情は曇り、入用が出来たので金庫を開けて欲しいと金額の書かれた紙を渡して来た。この屋敷には家令が居ないため、財政管理も自分が行っている。告げられた言葉と渡された紙に、極小さく息を吐いた]───畏まりました。では後程、お運び致します。[誰に、と言うのは聞かなかいし言われない。けれど回数を重ねられた今では、ある程度の予測は立っていた。それでも何も言わないのは、最終決定権は主にあるため。またか、と言う思いのみを抱いて、一礼の後に主の部屋を辞した]