― 外 ―
[其処にはイヴァン>>85とオトフリートの手により
シーツに包まれた歌い手が在る。
雪を染めるいろを認めれば、眉根を寄せた。
雪が被り難い場所へと安置しようとするイヴァンに声を掛け
歌い手の亡骸を安置する手伝いを申し出る。
場所を移し、それから一度シーツをめくり、
歌い手の手へと触れる。
引き裂かれた痕に、眉間の皺が濃くなる。
腕の傷が防御創であるとまではこの時は気づかぬまま、
歌い手の手を胸の上で組むかたちにして、
その目許へと一度、手を翳し、シーツで包みなおす。
本来ならば司祭が、と思えど、此処に彼は居ないから、
祈りを捧げ、静かに目を伏せる。]