じゃあ、お先に。
[助走はない。
音もなく一歩踏み出すと同時に身体が消える。
そう錯覚させるように斜め上へ高く跳躍すると、居場所をしっかり捉えられるより早く、先手を貰う。
無理な姿勢は重力操作あってこそ。
片足を伸ばし腰を丸め、美結の頭を見据えると、苦無を構えた右腕を振り下ろすように。
1本目は美結の前頭部を目指す。
力の足りない身体では威力は出せない。
その当たり前をカバーする手立ては持っている。]
……、
[そして自身は勢いのまま一回転すると、美結のすぐ目の前へ至る軌道で落ちていく。
遠距離と思わせ初っ端から間合いを詰めようとしながら、2本目を身体中心部あたりを狙って放とうと。*]