― 墓地 ―
[そちらもなと>>95仕草で伝えながら、仕入れ品を聞いて、黒胡椒があるなら買っておくかと、自炊派のこちらも一つ予約を入れた。
独特な型を取る礼も、慣れた此方にはすぐ伝わる。
『どういたしまして』と仕草とり返したものの、嫁に関しては『さっぱり』と仕草した後肩を竦めた。
聾者である自分には、手話を覚えていたり、覚えようとする相手ですら貴重なのに、『そういう相手は貴重すぎて涙が出るよ。』
と、ひとさし指を曲げ目の下から捻り落とす仕草をして返し苦笑した。
フォルカーにも似たような話題が振られるなら、『そういえば彼女の一人でも出来たのか』と、からかい交じりに尋ねたみた。
少し複雑だが、小指を立てた女性を表す仕草と、軽くハートのような形を作ればおおよその意味は伝わるだろうか。]