[名前を呼ぶ声が聴こえても直ぐに離そうとはしなかったろう。
華奢な温もりは、それでも本来の少女のものよりかは
少しだけ、ひやりと冷たいのかもしれない。]
――…目の前でこわれるのを見るくらいなら…、
おのおのの想いなんて…、……
[ケホ…掠れた咳が視線と共に落ちると背を撫ぜられる。
それが何処かむず痒くて誤魔化すような咳を零して、笑った。]
…強がらなくていい…って、
言ってやりたかったんだがね。
どうも…こういうのは…得意じゃあない。
[点滅する視界…まただ、また…。眸を伏せると
血の滲む手を、ブリジットを抱く手を、強く握り締めて]