[跳躍のために踏み切ろうとした前脚に、衝撃が走る。>>96銀の毛と紅が散って、真白を染め、態勢が崩れた]……っ!ユーリ、かっ![銀の鏃の掠めた左前脚は使えない。跳躍は諦め、右の前脚を軸に身体の向きを変え、後ろへ下がった。大きく動いた事で、自然、伸ばされた腕は触れることはなくすれ違う。──真後ろには、冬でも凍る事無く流れる、早瀬]……おせぇよ、ばぁか。[ぽつり、もらした声は、少女には届いたか。それにも構わず、銀の獣は、紅の瞳を少女へ向ける]