─ 広間 ─
[頭の中がぐるぐるする感覚は、祖父の死を目の当たりにした時と近いもの。
元引きこもり少年は、本当の意味で他者に心を許す事が滅多にない。
その彼が信を向ける、というのは実は相当な事で。
それだけに──失った反動は、大きくて]
…………。
[ユリアンが椅子を引いて、座るように促す。>>97
出されたお茶の香りが少しだけ気を静めてくれたけれど、漣は消えなくて]
……わかん、ない。
けど。
いるなら、さがさなきゃ。
[探してみつけて。
その先にあるものを思うと、どこかが軋むような心地がした]