[袖を見ると、赤が移っていた。自分の物ではないのは、明白だ。他にも、あちこちに付いているのだろうと思った]……タオル、貰える?濡れたのが、いい。[そう頼むと、アーベルは台所へと向かう。背中を眺めながら、違和感を覚えた。そうか、ああ、ザフィーアがいないんだ]どこ、行ったの?[タオルを手に戻った彼に問う。答えを聞いて、そう、と頷いた。顔を拭い、手を、腕を拭う。白に付着していく赤。最後に、目に当てた。熱い]