― 中庭の見える回廊 ―
[司書の言葉が解るのかどうだか、小鳥が鳴くのに笑みが浮かぶ。
彼の苦笑はそのままで、返る言葉に一つ、頷く]
冬の間は動けなくなるもんな、ここ…だから今日来たんだけどさ。
それじゃ、とりあえず置いてくるよ。
ああ、そう言えば、さっきエルザちゃんも来てたな……
[来客が多い、との言葉に思い出したようにそう加えて]
それじゃ、また後で……
[そう言って、離れようとして、すぐに振り向いて]
あ、そうだ、今日はパイ焼いて来たんだった。
シスターに預けてあるから、よかったら使って?
[味の方は自信ないけど、と笑って、今度こそ図書室へ向かおうと]