[用意されたナイフの数がこうして減っていっても、なお。
それを掴むことの未だ無かったヴィクトール。
彼が口にした香のこと>>78には曖昧に首を傾げながら、
それでも暫しその顔を見詰めてから、苦笑い一つ。]
あなたは優しい、ね。
[そんな、村人に対して優しい「お偉いさん」が居るからこそ、
金だけはあるばかりに、真面目に働いていることもない自分が
それなりにでも村人として受け入れられているのだろうと思う。
ソファに身を預けたまま、広間を後にする彼>>79に、けれども、
恨みはしないと応えることはないまま、その背を見送った。]