生活が掛かってるので、諦めるのは願い下げです。
――早々に切り上げさせて頂きます。
[裏で程ほどにしろと警告されているにも関わらず、キッパリ言った。]
――「容赦」? …僕が、する筈無いでしょう。
[期待する相手を間違えていますよ。 にぃ、と。笑みを深め。
避わされ、空を切る棍に掌を添えて無理矢理に勢いを止めて。
勢い良く繰り出される蹴りにカウンターの要領で、
相手の踵へと棍先を突き出して受け止める。ガン、と。 強く腕へと伝わる衝撃。]
――…ッ、“縛”!
[瞬間。
棍が解ける様に姿を変える。
一度受け止めた脚から支えを奪ってバランスを崩すのと同時
鈍色を放つ鎖へと姿を変えた漆黒を、その脚へ絡めようと。]