[酔っ払いにめったに向けられることのないたぐいの視線を受けて、背筋がむずがゆくなった。
藪をつついて蛇を出したくないから無精ひげに覆われた口を閉じて視線を外らす。
丁寧な言葉遣いの割には荒れている手と、神父を引き合いに出す言葉になんとなく少女の境遇を理解しながらもそれにもなにも言わないまま、渡りきったつり橋を振り返るのを、立ち止まってみていた]
……10歳はまだ子供だァなァ……
[ニヤリ、と意地の悪い笑みを浮かべてからかうように呟く。
笑うなという言葉はどこ吹く風とばかりに受け流し。
置いていくことなく、連れ立っていることには気づかない]