─ 広間 ─ …、あれ?[まずは廊下の時点から、薪を燃やす匂いがしなかった。気づかずに扉を開き、冷えた室温に異変を悟る。ベアトリーチェの書置き>>92を見て、小さく息を呑んだ。そのまま外に行きかけて、慌ててコートを取りに部屋に戻った。ぱたぱたと階段を行き来する足音を潜めることはない。行き会う者があれば、手短に状況を口伝えたろうが、外へ向かうクロエの足が止まることはない]