[それはゲルダの宣言がある前の話。アーベルの存在に気付いた深緑が一度瞬かれる。やはり彼だけは殺したくないと思ってしまう。その、思いに気付けば微かに柳眉を寄せた]――…話があるのはこっちも同じだ。[短く声を返して蒼鷹を連れる幼馴染を見送る。人目を避けるなら、共に行くのは拙いだろう。昨日の一件で青年はそれを学んでいた。タイミングをはかり、人の目を誤魔化して青年は幼馴染の居る厩舎へと向かう。――人ならざる獣に彼の匂いを辿るのは簡単な事だった]